【ロシア妊娠出産記】ロシアで初めての妊娠、稽留流産、そして掻爬手術

この記事は約13分で読めます。

現在、私は妊娠23週を迎えました。この妊娠の前に1度稽留流産を経験しています。

安定期とはいえまだまだ不安なことだらけでしたが、私のロシアでの実体験を1人でも多くの方の役に立てたらという思いから、当ブログでは「ロシア妊娠出産記」というかたちで私の妊娠から出産までの出来事を紹介していくことにしました。

本日は初めての妊娠発覚後、7週での稽留流産、そして掻爬手術に関してご紹介します。

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【ロシア妊娠出産記】ロシアで初めての妊娠、稽留流産、そして掻爬手術

私の妊娠発覚までの経緯は【ロシア妊娠出産記】妊娠発覚までの道のり~稽留流産を乗り越えて~をご覧ください。

国立産婦人科病院で稽留流産が発覚するまで

陽性反応が出た翌日に国立産婦人科病院を受診

私が妊活を始めたのは、2018年2月からでした。この時、私33歳、夫は30歳でした。

妊活を初めて約半年後の11月14日。

生理が遅れていたので市販の妊娠検査薬を使ってみたところ、陽性反応。

翌朝8時にお世話になっている国立産婦人科病院へ行きました。担当医に妊娠した旨を伝えると、有料ですぐにエコー検査をしてくれることに。

保険証を持っていれば、基本的な医療行為は無料で受けられるんですが、そのためには事前に予約する必要があります。この日は、予約なしで当日検査だったため、700ルーブル(約1100円)実費となりました。

エコー検査の結果、妊娠4週だということが判明。

担当医からは

・入浴

・激しい上下動をともなう動き(飛び跳ねたり、自転車に乗ったり…)

・重い荷物を持つこと

の禁止事項3点を教えてもらい、次回は11月21日にエコー検査をすることに。

この日エコー検査の予約をしたので、次回からは無料に。

2回目のエコー検査も異常なし

12月21日に2回目のエコー検査も特に異常なく、無事胎嚢が確認できたので、次回は妊娠7週ごろにエコー検査をすることになりました。帰りに院内に設置してある端末機で次回の妊婦検診の予約を取り、自宅に帰宅しました。

最近は自宅のパソコンや病院内に設置してある端末機で診察の予約ができるので、すっごく便利。昔は1、2時間待つのが当たり前でしたが、このおかげですぐに診察してもらえるように。ここ数年でロシアの病院のイメージが大分よくなりました。

妊娠超初期からのひどいつわり

私の場合、妊娠4週からすでにつわりが始まっていました。食べ物も飲み物も受け付けず、無理して何か口にすると胸やけを起こし気持ち悪く。そして、すぐに嘔吐してました。また常にお腹が張っている感じがして、とにかく辛かったのを覚えています。

飲み食いができない状況で大学での授業をこなすのはなかなかしんどく、そのうえ職場までは片道40分。

ロシア(リャザン)の道路事情はお世辞にも良いとは言えないため、マルシュルートカは上下左右に揺れまくり…確実にHPを削られていきました。

11月24日 体調が悪化

2回目のエコー検査の3日後のことです。この日は土曜日でしたが、私は週6で大学の授業が入っていたため、この日もつわりを我慢して大学へ。すると、1コマ目の授業後急に体調が悪化。立っているのもようやく…という感じで、フラフラしながらも何とか帰宅。

この日、大学の授業のほかにプライベートレッスンが3コマあったんですが、全てキャンセルし、自宅で横になっていました。

ところが、状態はよくなるどころかさらに悪化。夕方ごろ熱を測ってみると…なんと、38.1℃。しかも、背中から腰にかけて激痛が。普段風邪なんか引かない私にとっては一大事。

仕事中だったにも関わらず、すぐに夫に連絡。すると、夫が私の担当医と連絡を取ってくれました。

そして、熱が38.5℃まで上がるようなら解熱剤(парацетамол)1錠を半分に割って飲むように指示をもらいました。

結局、その日熱も腰の痛みも治まらなかったのですが、薬は使いたくなかったのでひたすら横になって我慢してました。

次第につわりが軽く…?

担当医からは体調が良くならなかったらすぐに受診するように言われていましたが、体調が悪化した翌日以降、少しずつ体調が戻っていった私。そして、このとき気付いたことが1つ。

日に日につわりが軽くなってるような…?

次の妊婦検診は12月5日、あと数日待てばよかったので、ここは慌てず検診日を待つことにした私。

でも、内心は穏やかではありませんでした。

妊娠7週で稽留流産が発覚

そして、12月5日。3回目の妊婦検診でした。いつも通りエコー検査をしてもらいましたが、担当医の顔が険しい。

私が心配そうに見ていると、担当医から一言。

稽留流産です。ここでは処置できないので、紹介状を持ってすぐに別の国立病院へ行ってください。

やさしい言葉など一切なく、淡々と紹介状を書き始める担当医。こういう時、日本だったらやさしい言葉の1つや2つ出てくるだろうけど、ロシアではそんなことありません。事実を告げ、自分の仕事をこなします。

え、別の病院ですか?

そこで詳しく処置などの説明があるから。これ以上のことは私からは何も言えないわ。

頭の中が真っ白だった私と夫でしたが、とにかく急を要するということで、紹介状を手にしてすぐに別の国立産婦人科病院へ向かうことに。

私も夫も涙は一切出ませんでした。というか、事実を受け止められていなかったんだと思います。

別の国立産婦人科病院に入院…そして、掻爬手術

入院手続き

この日妊婦検診が9時半からだったので、すぐに別の国立産婦人科病院へ向かうことができた私と夫。受付で紹介状を渡し、内診で流産しているかどうか再確認後、入院手続きが行われました。

私が泊まった病棟

え、入院手続き?!日帰りの手術じゃないんですか?

日本では日帰りで掻爬手術が行われているとネットで知っていたので、日帰りですぐに帰れると思っていた私。

手術するんだから、日帰りじゃ無理よ。詳細は担当医師から聞いて。

「日本であたり前のことが海外でも当たり前ではない」ということを実感した瞬間でした。

入院手続き後、病室へ案内され、そこで担当医と顔合わせ。

はじめまして。私があなたの担当医です。今回は残念でしたね。明日掻爬手術を行う予定ですが、本日はとりあえず自宅に戻って荷物の支度をして、明日朝7時半までに病室に来てください。明日の朝、血液・尿検査があります。なお、今日は18時までに食事と水分補給を終わらせて、それ以降は何も口にしないでくださいね。

とても優しそうな女医さんで、今日はとりあえず帰宅許可が下りました。まだ頭が混乱していましたが、掻爬手術は明日行われるとのこと。心の準備も何もできてないのに…と思ってしまいましたが、医者の言ったことは絶対です。従うしかありません。

入院生活開始、手術の説明

担当医の指示通り、翌日朝7時半に病棟へ行って自分のベッドで待機していると、看護師さんに血液・尿検査で呼ばれました。9時頃に朝の回診が始まり、その後10時頃に担当医が処置方法の説明をしに来てくれました。

今日の予定ですが、この後内診で子宮口を広げるためにラミナリアを入れて、その後掻爬手術となります。これが最短の処置ですが、ラミナリアは多少痛いかもしれません。

そうですか…。

なので、もし身体への負担を減らしたいなら、本日子宮を広げるための錠剤を飲んで明日掻爬手術することもできます。どちらがいいですか?

完全流産を待つことはできないんですか?

患者さんの強い希望があれば別ですが、基本的にはおすすめしていません。内容物が完全に出てくるとは限りませんし。

そうですか…。それじゃ、ラミナリアと錠剤とどちらのほうがいいでしょうか?

錠剤のほうがいいかもしれないですね。

それじゃ、錠剤でお願いします。

 

 

ということで、手術は翌日に延期になりました。昨日の夕方から絶食してたのに、無駄になりました(まぁ、食欲はなかったんですけどね)。その後錠剤を飲み、あとは病室で安静に。

掻爬手術当日

朝起床後にトイレへ行くと、錠剤の影響かうっすら茶おり。9時半過ぎに朝の回診がスタート。

体調はどう?

朝、茶おりが出ました。

わかりました。11時前後に呼びにくるので、病室で待っててね。

病室で待っていると、11時15分に先生が呼びにきてくれました。

 

それじゃ、行きましょうか。

まだ頭の中は整理できずにいましたが、このままにしていても先に進めない。先生に言われるがまま、手術室へ。

麻酔科の先生が待機していて、そこで手術に関する同意書に署名し、内診台へ。

丁寧に手術するから安心して。

左腕に静脈麻酔を注射すると、あっという間に意識を失った私。

気が付いたのは、30分後。

処置は全て無事終わりましたよ。隣のストレッチャーに移動できる?ゆっくりでいいからね。

頭がぼんやりとしていましたが、内診台の隣に用意されていたストレッチャーに手伝ってもらいながら移動。そのまま病室まで連れて行ってもらいました。

掻爬手術後は「かなり痛い」というネットでの口コミを読んでいたので、覚悟していましたが、生理痛の鈍い痛みだけでした。ベッドに戻るとすぐにお腹にアイスノンをのせてくれ、そのおかげなのか痛みも30分ほどで治まりました。

麻酔がまだ若干残っていたので、ぼーっと横になっていると、しばらくして担当医さんが回診に。

あと30分ぐらいしたら入院着に着替えて、飲食しても大丈夫よ。あと、今日からリハビリを開始するから、このあと理学療法士(физиотерапевт)のところへ行ってね。

 

ということで、手術後からリハビリが開始し、結局退院したのは5日後の12月12日でした。稽留流産が発覚して別の国立産婦人科病院で入院手続きをしたのが、12月5日。翌6日から入院したので、入院期間は1週間弱でした。

術後の出血もほとんどなく、手術した日と翌日のみナプキン1枚使いましたが、それ以降はパンティライナー1枚だけで十分でした。

入院した病棟

私が入院した病棟を撮影したので、ちょっとご紹介。

私が泊まった病室(8人部屋)

私が泊まった病室(8人部屋)

私が入院生活を過ごした病室は8人部屋でした。簡易ベッドとナイトテーブルがあります。

そのほか、病室にはテレビが1台と、ワードローブ、小さなテーブルとイスが2脚ありました。

日本のように仕切りカーテンなどは一切なく、プライバシーは一切守られていません。回診時もみんなが見ているところで行われます。

正直、最初は仕切りカーテンがなくて辛かったのですが、最終的にはなくてよかったかなと思えるように。

というのも、仕切りカーテンがない分同室の人と会話をする機会が増えたから。

病室で他の人と会話するなんて思ってなかったけど、これが入院中の唯一の楽しみに。

不便な面もありましたが、これはこれでありでした。

次は…病棟の廊下。

病棟の廊下

病棟の廊下

階段

この階には病室のほかに、食堂と検査室、手術室や看護師さんたちの休憩室などがありました。

お手洗いにはシャワー室が1つあり、いつでも利用できました…が、仕切りがなかったので丸見えでした(苦笑)

お手洗い兼シャワー室

私は人があまり使わない時間帯を選んだり、シャワー浴びてるときはトイレのドアを全開にして仕切り代わりにしてました(笑)

ほかの患者さんも誰かが浴びている間はそれなりに気を遣ってくれていたので、そこまで恥ずかしいという感じはありませんでした。

お手洗い

病棟の間取図

病棟は全部で3階建てで、私は3階の43号室に泊まっていました。

4人部屋はかなり狭くて息苦しそうだったんですが、幸い私は一番広い部屋だったので、かなり快適でした。

評判の悪い病院食の実際は…?

ロシアの国立病院は、基本無料で医療行為を受けられます(全てではありません)。私の入院・手術費もすべて無料。

これだけの医療行為を無料で受けられるんだから、病院食は悪くたってしょうがない。

私はそう考えていました。もし病院食が不味くて食べられなかったら、夫にお願いして食べ物を持ってきてもらえばいいだけの話。

私が実際に食べた病院食がこちら↓

まずは朝食から。

ご飯と牛乳のカーシャ(молочная каша с рисом)

カーシャは日本語でおかゆのこと。穀物や豆類などを水、ブイヨン、牛乳などで柔らかく煮た東欧の代表的な家庭料理です。

カーシャとパン、そして甘~い紅茶が出ました。

パスタと牛乳カーシャ(молочная каша с вермишелью)

昼食と夕食はこちら↓

鶏肉のスープ(Куриный суп с вермишелью)

 

プロフ(плов с курицей)

 

パスタ

他の患者さん曰く、ここの病院食はましな方だとか。確かに、少量ですがお肉も野菜も入ってたし、味も悪くありませんでした。

妊婦さんが入院しているから、なるべく栄養のある食事を出すようにしてるのかな?

と私は思ってました。

もともと少食の私にとってはちょうどいいボリュームでした。

ちなみに、食事に必要な食器類は持参する必要があります。もちろん、なかったら貸してくれますが、自分の容器なら食べきれなければ病室に持って帰れるので、こちらのほうが断然便利です。

まとめ

本日はロシア妊娠出産記ということで、初めての妊娠から稽留流産、掻爬手術の経験を記事にしました。今でもあのときのことを思い出すと辛いのですが、妊娠初期の流産は防ぎようがないとのことなので、事実は事実として受け止め、今は新しくお腹に宿った赤ちゃんを大切にしようと考えています。

ロシアの国立病院は薄暗く、怖いイメージしかなかった私でしたが、この入院をきっかけに大分そのイメージが払拭されました。

何よりも手術を担当してくれた女医さんが丁寧に処置をしてくれたこと、そしてその後3つのリハビリを受けさせてくれたこと。

手術4か月後には再度妊娠できたのも、しっかりした病院の対応があったからだと感謝の気持ちでいっぱいです。

 

なお、リハビリに関しては長くなってしまうので、また別の記事でご紹介しようと思っていますので、少々お待ちください。

 

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