本日のテーマは「ロシアの住居」です。
これからロシアに渡航しようと思ってる方、特に現地の住宅事情って気になりますよね。
ということで、本日はロシア在住歴9年目のRIEが現地の住まいを写真付きで紹介します。
住居に関わる大切な語彙も合わせて紹介するので、ロシア語を勉強してる方にもおすすめの記事です。
それでは、早速見ていきましょう。
ロシアの住居ってどんな感じ?現地在住日本人が写真付きで紹介!
ロシアの住宅事情
ВЦИОМ(всероссийский центр изучения общественного мнения)が行ったアンケート調査よると、現在ロシア人の64%が、モスクワに限れは90%以上がアパートやマンションに住んでいるそうです。
国土が広い割に、アパート・マンションで生活してる人のほうが多いです。
私が住んでいるリャザンという町もアパートやマンションばかりが建っています。ときどき一軒家を見かけることもありますが、ソ連時代より前に建てられたような木造の古い家がほとんどです(最近はそういった古い家を壊して、そこに高層マンションが建設されたりしてます)。
郊外に出ると、今度は一軒家が目立つようになります。
都市部は基本的に集合住宅、そして面積は家族3~4人の住まいで50~60㎡台が主流です。国土が広い割に、けっこう狭いところに住んでいると感じた方は多いかもしれません。
どうしてなのでしょうか?
話は旧ソ連時代にさかのぼります。当時は国が無償で国民に住居を提供していました。共産圏の国だったので「公平性」を重んじます。同時に「効率性」も重んじた結果、効率よく暮らせる集合住宅で、最低限の生活ができる広さということでこの形になったそうです。それが、現在も残ってるんでしょうね。
住居に関わる大切な語彙
住居に関するロシア語を紹介します。
Дом
(ドーム)
直訳すると「家」ですが、基本的にはマンション (многоквартирный дом) を指すことがほとんどです。もちろん、一軒家(частный дом)を指すこともありますが、大体はマンションと区別をつけるために「частный дом」と省略せずに使うことが多いです。
国民の大多数がアパートやマンション暮らしなので、домがアパートやマンションを指すのは見当がつくかもしれません。
Квартира
(クヴァルチーラ)
辞書には「部屋」と出ていることがほとんどですが、正確に言うとマンションの各住戸を指します。
Комната
(コームナタ)
こちらも辞書には「部屋」とか「室」と出ていることがほとんどですが、家(住戸)の中の部屋(居室)を指します。
комнатаは純粋に居室(寝室、リビング、子ども部屋など)を表すので、バスルームやキッチンは含まれません。
ロシアのアパートやマンションのほとんどは以下の3タイプに分けられます。
Однокомнатная квартира
(アドナコームナタナヤ クヴァルチーラ)
日本語にすると「ワンルームマンション」です。
居室(寝室)が1つのほかに、キッチン、バスルーム、廊下、バルコニーがあります。
広さは大体36~42㎡です。日本のワンルームマンションは20㎡ぐらいが多いので、それを考えると1人で住むには十分すぎるほどの広さです。
ちなみに…我が家は家族3人でоднокомнатная квартираに住んでいます。夫婦2人のときは収納スペースが足りない以外は特に不便さを感じませんでしたが、子どもが生まれた途端手狭に。早く新居に引っ越したいです(泣)
Двухкомнатная квартира
(ドヴッフコームナタナヤ クヴァルチーラ)
居室(寝室)が2つ、あとはоднокомнатная квартираと同じです。
広さの目安は大体54~62㎡です。3人家族に人気があるタイプです。
Трёхкомнатная квартира
(トリョッフコームナタナヤ クヴァルチーラ)
居室(寝室)が3つ、あとはоднокомнатная квартираと同じです。
広さの目安は大体68~82㎡です。4人家族や、ゲストルームを作りたい少しお金に余裕のある方が購入することがほとんどです。
ちなみに、居室(寝室)が4つの場合はчетырёхкомнатная квартираと言いますが、私の知り合いでこんな広いマンションに住んでいる人は見たことがありません(笑)。
Подъезд
(パッドイェズド)
さらに、もう一つロシアの住居を語る上で大切な言葉があります。
それが、こちらのподъездです。辞書を見ると「玄関」と書いてありますが、厳密に言うとマンションの入口から各квартираまでの廊下、階段の部分を指す言葉です。日本のマンションは、通常建物内への入口は一つですが、ロシアの場合は一つの横に長いマンションに複数のподъездがあります。
下の写真を見てください。オレンジ色の矢印がподъездで、それぞれのподъездから行けるквартираをオレンジ色の丸で囲っています。つまり、подъезд間で行き来はできないのでご注意ください。
なお、地図で行き方を探したい場合は、2ГИСがおすすめです。
こちらのポータルサイトの地図だと、подъездがどこにあるのか矢印で表示してくれるし、各подъездの部屋番号も記載されているのですっごく便利です。
マンションの入り口から自宅まで
さて、ここからはマンションへの入り方、内部がどんな感じなのかを写真付きで紹介していきます。
подъездは下の写真のような感じになっています。
鉄板扉がドーーーンと構えていてちょっと物々しいですが、ロシアではスタンダードです。
通常であれば、ドアにподъездの番号と、そのподъездから行くことの出来る各квартираの番号(ここではオレンジ色の丸で囲った部分)が書かれています。写真のподъездの場合、部屋番号は1~28までです。
このドアはквартираの番号のみですね。複雑な形状のマンションの場合、подъездの番号がないと入り口探すのだけで一苦労です。
ちなみに、この部分が消えかかっていたり、広告が張られていて見えないのはロシアあるあるです(笑)
подъездの鉄板扉は100%磁気オートロック式
ロシアのアパートやマンションのподъездは100%磁気オートロック式です。
中に入るためには、マグネットキー(下の写真の緑色のキー)を使うか部屋番号を押して中の人に開けてもらう必要があります。
マグネットキーがある場合は、写真のようにдомофонについている丸い部分に当てると、音が鳴ってロックが解除されます。
日本のような自動ドアとかではないので、ロックが解除されたら自分でこの重い鉄板扉を開けます(苦笑)
これがけっこう重い…。両手が塞がってるとドアを開けるのがすっごく億劫です(笑)
マグネットキーがない場合は、部屋番号⇒#の順に押すとその番号のквартираの玄関に備え付けてあるドアフォンが鳴るので、自分の名前を伝えロックを解除してもらいましょう。次の写真はドアフォンの写真です。
ドアフォンを取ると会話ができるので、住人は必ず相手が誰かを確認した上で、ロックを解除します(カギのマークの上にあるボタンを押せばOK)。
押している間ずっと施錠が解除されています。訪問者が中に入ったことを確認し(ドアが閉まる音が聞こえ)たら、ボタンから手を放しましょう。
ちなみに、このマグネットキーを持たずに外に出てしまうと中に入れなくなります。ちょっとゴミ捨てに行くだけとかいう場合でも忘れないように気をつけましょう。万が一忘れてしまったら同じподъездの他の家の番号を押して、開けてくれるよう頼むか、誰かが出入りするのを待つしかありません。
停電時やдомофонが故障しているときは電子ロックが解除されてдомофонを操作しなくてもドアが開くようになります。
そうそう、万が一ドアフォンが故障していると、呼び出ししても開けてもらえません(笑)そういうときはスマフォで「подъездの前にいるので開けに来て」とお願いするしかありません。
アパート内の様子
1階
さて、ドアを開けて中に入ると薄暗い通用口がお出迎えしてくれます。
一応電気があるんですが、付いているところはほとんど見たことがありません。
というのも、電球が切れたらその階に住んでいる住人がお金を出し合って新しいのを買わなくちゃいけないから(苦笑)
私が住んでいるアパートだけのルールかもしれませんが(笑)
そのせいか、とにかく薄暗い。まぁ電気がついていたとしても、窓とかがないので結局は薄暗いんですけどね(笑)慣れないと怖いです。
さて、1階には郵便受け(почтовый ящик)、階段(лестница)とエレベーター(лифт)があります。
こちらの郵便受けですが、普段はほとんど利用しません。
Al͏͏i͏͏e͏͏x͏͏p͏͏r͏͏e͏͏s͏͏sで買い物をすると、自宅から最寄りの郵便局まで荷物が送られてくるんですが、荷物が郵便局に届くとお知らせが来ます。
日本からEMSで送ってもらったものは自宅まで届けてくれる(手渡し)か中央郵便局まで引き取りに行くので、ほとんど活躍の場面はありません。
そんなもんだから、古いアパートとかに行くと下の写真のようなカオスな状態の郵便受けを見ることも。
これ、古いアパート行くとほぼこんな感じですね~…。最初見たときはビックリしました(苦笑)
さて、次は階段です。
階段の踊り場には、暖房器具 (батарея)がついています。冬はすっごく暖かいです。
マンション内は禁煙なんですが、部屋でタバコが吸えない人は踊り場の窓を開けて吸ってます。
エレベーターはかなり狭いです。私と息子2人だけでもけっこう狭く感じるんですが、一度に最大で5名(400㎏)まで載れるそうです。
点検や故障で止まることはしょっちゅうあります(苦笑)先日は義母と息子が散歩から帰ってきたらエレベーターが故障してて、息子(13㎏)を抱っこしながら7階まで階段で上ってきた義母には頭が上がりませんでした。
ちなみに、ソ連時代の古いマンションだとそもそもエレベーター自体が設置されていないこともあります。
私たちが住んでいる7階フロア
さて、エレベーターを降りるとこんな感じになっています。
各フロアにはドアが4つあります。ロシアには表札がないためドアに部屋番号を付けることが多いんですが、写真のように部屋番号がついていないドアもあります。こういうときは隣近所の番号を見てどれが目的のквартираか判断しなければなりません。
ちなみに、部屋番号がないほうが我が家です(苦笑)
我が家は部屋番号もついてないし、玄関チャイムも取り付けていません。両親が我が家に来たときは、部屋番号なくて一瞬戸惑ったそうです(苦笑)しかも、間違えて隣の部屋の玄関チャイム鳴らしてしまったとか(笑)
あとは玄関のドアを開けるだけ。我が家は2ロック式なので、セキュリティ対策はバッチリです。
我が家をちょっと紹介
33㎡の部屋に家族3人で生活中
現在、私たち家族は33㎡の部屋に住んでいます。
建築士の夫が間取り図を作ってくれたので載せます↓
玄関入って左側はウォークインクローゼット、右側はバスルームです。一番広い部屋は寝室で、その隣はダイニングキッチンとなっています。
もともとウォークインクローゼットはなかったそうなんですが、業者さんに依頼して壁を追加したそうです。
ロシアではよくあるタイプの部屋で、現在のリャザンでの相場だと200~250万ルーブルほど(280~350万円)します。
モスクワだったら、この4~5倍はするんじゃないかな。あそこはロシアじゃない(笑)
義母が購入した当時(約15年前)は100万ルーブルほど(140万円ほど)で買えたそうですが、現在はコロナの影響で値段が高騰してます。
玄関
さて、ご存じの方も多いかもしれませんが、ロシアは日本と同じように家では靴を脱ぎます。
当然ドアを開けたら玄関があるだろうと日本人の私たちは思いますが、ロシアには日本でいう玄関というものはありません。
仕切りも区切りも段差も無いので、適当に靴を脱いで入り口付近に靴を置きます。
我が家は玄関マットを敷いて一応区切りをつけてはいるのですが、まぁ…汚れる汚れる(苦笑)特に春先の雪がとける時期が最悪です。掃除してもすぐに汚れるので、発狂しかけます。
現在リャザン郊外に平屋を建設中ですが、夫にお願いして5㎝の段差をつけて玄関を作ってもらいました。
バスルーム
バスルームはこんな感じです。
洗濯乾燥機はバスルームかキッチンにビルトインさせる家庭がほとんどです。我が家はバスルームに取り付けてあります(ちょうど見えませんが…)。
バスルームには水道メーターがあるんですが、毎月自分でどのくらい使ったかメーターで確認し、使った分を支払います。
寝室(居室)
続いては寝室(居室)。狭い部屋にパソコン2台とセミシングルベッド、ベビーベッドと息子のおもちゃがおいてあります。
息子が生まれるまではソファベッドを使ってたんですが、高さがけっこうあって危なかったので現在建設中の家に置いてます。廃棄にしてもいいと思ったんですが、ここはロシア。自宅で使わなくなったものはすべてダーチャ行きです。最後の最後まで使い倒すのがこの国ならでは。
ちなみに、居室が狭いためベッドフレームは置けず…。マットレスを床に直置き中。日中は立てかけてます(苦笑)
早く新しい家に引っ越したい…。
ダイニングキッチン
キッチンはこんな感じです。
かなり荷物が散乱していますが、お見逃しください(苦笑)
ロシアは4口コンロが多く、料理する際にはとっても便利です(もちろん、2口、3口コンロもあります)。
我が家はガスコンロですが、最近はIHも人気です。唯一私が不満なのは、シンクの小ささ!!(苦笑)
リャザン国立大学に赴任した当初住んでいたマンションもそうだったんですが、とにかくシンクが小さすぎて、鍋を1つ置いたら他は何も置けなくなります。しかも、丸型で使いにくいことこの上なし。食洗器があるならまだしも、我が家にそんなものはない!!(泣)
夫曰く、デザインが格好良かったから丸型シンクにしたそう。実用性を考慮してほしかった~!!(泣)
ほかにバルコニーがあるんですが、そちらは物置状態で見せられる状況ではないので割愛させていただきます(苦笑)
暖かい季節は洗濯を干し、寒い時期は冷蔵(冷凍)庫代わりに使ってます。
リャザン国立大学に赴任した当初住んでいたアパート
私は2012年9月からリャザン国立大学で日本語を教えているのですが、赴任した当初は大学から提供されたマンションに住んでいました。結婚してからは夫の自宅に転がり込んでます(笑)室内の写真が残っているので、紹介します。
私が借りていた部屋はかなりキレイでした。
大学から徒歩10分ほどで立地もとてもよく、1人で住むには十分すぎる部屋でした。
玄関
まずは玄関です。
先ほど、ロシアには日本のような玄関はないと言いましたが、この部屋は区切りがついてました。
日本のように段差はありませんでしたが、区切りがついているだけでかなり印象が変わります。
寝室
ロシアはソファベッドが多い気がするのは私だけだろうか?そういえば、知り合い宅もソファベッドだったな~。
かなり広々としたお部屋で、テレビ付きでした。ソファベッドが年季ものだったので、腰痛くなったのはいい思い出です(?)
バスルーム
こちらのバスルームには、ロシアならではと思われる家庭用ボイラーが設置してあります。
このボイラー、不動産屋さんの物件紹介でも「ボイラーあり/なし」と表記されていて、チェック事項の一つとして重要視されています。
一般家庭のバスルームにボイラーが設置されている理由はもちろん、建物内でお湯の供給が断たれる時の備えです。旧ソ連圏ではおなじみ、夏の訪れとともにやってくる、断”湯”。季節の移ろいを感じるビッグイベントの一つです。
断湯の理由はメンテナンスのためで、1週間から10日ほどお湯の供給がストップすることも。
家庭用ボイラーがない家庭では、4口コンロフル稼働させてお湯を作ってシャワーを浴びます。断湯期間に入ると、毎回思うのが、蛇口をひねれば出てくるお湯のありがたみ。ちなみに、冬に配管が壊れて断湯することもあります。
ちなみに、我が家には家庭用ボイラーがありません(笑)
ダイニングキッチン
とてもきれいなダイニングキッチンでした。広さも十分。
シンクだけは丸型で使いにくかったですが…(ちょうど隠れて見えませんが苦笑)
最近はリビングダイニングキッチンも主流になりつつありますが、現存するアパートやマンションはダイニングキッチンがほとんどです。
この写真のダイニングキッチンはかなり広いほうです。狭いとこの半分ぐらいの広さのダイニングキッチンもあります。
まとめ
いかがでしたか?本日はロシアの住居について、現地の住宅事情と私が実際に住んでいた(いる)住居を写真付きで紹介しました。
それでは、また次の記事でお会いできるのを楽しみにしてます!!
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