【ロシアの生活】週末は小屋付き菜園「ダーチャ」へ

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みなさんは、ダーチャ(дача)ということばを聞いたことがありますか?

ロシア語を勉強している方や、ロシアに興味のある方なら聞いたことがあるかもしれません。

本日はロシア人の生活に欠かせないダーチャの魅力をたっぷりご紹介します。

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【ロシアの生活】週末は小屋付き菜園「ダーチャ」へ

ダーチャとは?

ダーチャ(дача)とは、郊外にある「ロシア・旧ソ連圏の菜園(農地)付きセカンドハウス」のこと。もともとはソ連時代の食糧不足を解消する目的で国民に支給されました。дачаは動詞のдать「与える」が由来で、「与えられたもの」という意味があります。なお、ダーチャ所有者は、ダーチニック(дачникと呼ばれています。

セカンドハウスと聞くと、何だか裕福なイメージがありますが、ダーチャといってもその形態はさまざまです。週末に畑仕事をするための小さな小屋から3階建ての豪華な別荘まであります。豪華な別荘はごく一部の富裕層が建てたもので一般市民とは明らかにスケールが違います。

ダーチャを一言で分かりやすく説明すると「ロシア・旧ソ連圏の小屋付き菜園」という感じです。

ダーチャは街に暮らす人々が都会の喧騒から逃れ、ゆっくりと体を休めるために利用されたり、家庭菜園を楽しんだりするところです。最近では都市の生活に疲れた人たちが、ダーチャに立派な家を建てて生活の拠点にすることも。ダーチャの多様性は広がっています。

敷地面積はどのくらい?

ロシアの土地面積の数え方はсотка(ソーットカ)という単位を使います。ロシア語のсто(ストー)からできた言葉です。

1 соткаは100㎡(10m×10m)で、約30坪です。ダーチャは6 соток(600㎡)からで、敷地内に小さな小屋を建てて菜園をするならちょうどいい面積です。

↑6 соток(600㎡)のダーチャ

ちなみに、運営者はリャザン市から車で約15分ほどのところで20 соток(2000㎡)の土地を購入し、現在3年がかりで平屋の一戸建てを建設中です。将来的にはダーチャを拠点に生活をする予定です。

ダーチャで何をする?

家庭菜園

ロシアでは自給自足という考え方が広く普及しているため、食糧不足が解消された現在でも無農薬で体にやさしい食べ物を求め、多くの人がダーチャで畑仕事に精を出しています。

ダーチャシーズンは5月上旬から寒くなる9月下旬ぐらいまで。この時期は週末になると草を刈るお父さんの姿や、畑の世話や収穫した果物・野菜を調理・加工するお母さん、それを手伝う子どもの姿がよく見られます。

郊外の小さな家で自分で食べる分だけの野菜を作って暮らすというのは、とても魅力的ですよね。土をいじっているだけでも日ごろの疲れが癒されます。何よりも自らの手で畑を耕す喜びというのはひとしおです。

週末は知り合いを招いてシャシリクパーティー

ダーチャの楽しみの1つが、知り合いを招いてのシャシリク(шашлык)です。暖かくなってくると、どこからともなくシャシリクのいい香りがしてきます。

ロシアの夏の風物詩です。

↑шампурと呼ばれる串にお肉を刺して炭火でこんがりと焼きあげます。

自宅の秘伝のタレに漬けてもよし、漬け込んであるシャシリク用の肉を購入してもよし。ちなみに、スーパーでは豚肉がよく売られています。

私が住んでいるリャザンではシャシリク用のお肉は1㎏あたり250ルーブル(約425円)からです。

秋になるときのこ狩りへ

秋になると森へきのこ狩りに出かける人が増えてきます。ロシアでもっともおいしいとされているのが、белый грибと呼ばれるきのこ。直訳すると白いきのこなんですが、日本語名はヤマドリタケです。

見た目がすっごくかわいいですよね。きのこ狩りのシーズンになると、道端で購入することもできます。

運営者はここ数年毎年きのこ狩りに行ってますが、新鮮な空気と鳥のさえずりを聞きながらの散策心身ともにリフレッシュできます。毎年このシーズンが楽しみです。

ダーチャシーズンが本格的にスタートするのはいつ頃から?

ロシアは5月の上旬にмайские праздникиと呼ばれる、日本のゴールデンウィークのような連休があります。2019年は1日から5日と9日から12日にかけてなんですが、ダーチャシーズンはちょうどこの連休から始まります。

連休前日ともなると、道路はダーチャへ向かう人たちの車でごったがえ。至る所で渋滞が発生します。ちなみに、祝日の前日は仕事がいつもより早く終わることが多いため、15時過ぎぐらいから渋滞が始まります。

なお、連休明けに学生に「何をしましたか?」と聞くと、必ずといっていいほど

じゃがいもを植えました…。

という返事が返ってきます(笑)

じゃがいもの植え付けは若い人たちの仕事のようで、小さいころから毎年手伝ってるようです。

ロシアの子どもたちは小さいころから畑仕事を手伝っていることが多いので、野菜や果物の栽培方法や植物の名前などに詳しい子が多く、リャザンに赴任したての頃は知識の豊富さにビックリしたものです。

ダーチャシーズンに向けての準備はいつからするの?

ダーチャ用品が店頭に並び始めるのは2月中旬・下旬ごろから

ほとんどの家庭では室内で苗を育て、外が暖かくなる5月の連休頃に苗を定植します。

大体3月上旬頃から容器に種を播き始め、定植するまでの期間は室内で蛍光灯を使いながら育てます。

そのため、2月の下旬頃から少しずつ店頭でダーチャ用品の販売が始まります。毎年新しい種類の種が販売されるので、我が家のようなダーチャ初心者にとっては、この種選びが大変です。そういえば、最近はサカタのタネもチラホラ見かけるようになりました。でも、ちょっと割高ですね。

我が家は室内でトマト、チェリー、パプリカ、とうがらし、なすの苗を育てています。

ロシアは夏が短いので、いかに効率よく野菜が収穫できるかが大切です。そのため、自宅で苗を育てるのはロシアではごく一般的です。

まとめ

いかがでしたか?

ロシア人の大部分が所有しているダーチャ。

ソ連崩壊の時、給与が支払われず、超ハイパーインフレで紙幣が紙くずになってしまった時でも、ロシア人が飢えることがなかったのはダーチャのおかげです。

そんな辛い時代があったからこそ、自分たちの手で作る文化が生まれたんだと思います。

ダーチャはまさにロシアの文化そのものです。

皆さんも地球に優しいスローライフの世界、是非試してみてくださいね。

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