産休(отпуск по беременности и родам)・育休(отпуск по уходу за ребёнком до 3 лет)のことをロシア語ではまとめて“декретный отпуск “と言います。
産休は一般的に140日間付与され、育児休暇は子供が3歳になるまで取得できます。
この期間は職業上の地位が保証されるので、産休・育休取得中に雇用側から解雇されることはありません。
働く女性にとっては非常に有難いシステムですよね。
本日はロシアにおける産休と育休のシステムについてご紹介します。
【ロシア妊娠出産記】ロシアの産休と育休のシステム
ロシアの産休(産前産後休業)
産休開始日
まずはロシアの産休開始日について。これは単胎妊娠か多胎妊娠かによって異なります。
- 単胎妊娠:出産予定日の10週前(妊娠30週)
- 多胎妊娠:出産予定日の12週前(妊娠28週)
つまり、単胎妊娠の場合は出産予定日より70日前、多胎妊娠の場合は予定日より84日前が産休開始日ということですね。
産休期間はいつまで?
ロシア連邦労働法(Трудовой кодекс Российской Федерации)によると、産休期間は次のように定められています。
- 単胎妊娠で通常分娩:出産予定日の70日前から、出産後70日間(計140日間)
- 単胎妊娠で異常分娩(帝王切開など):出産予定日の70日前から、出産後86日間(計156日間)
- 多胎妊娠:出産予定日の84日前から、出産後110日間(計194日間)

私は単胎妊娠だったので、妊娠30週にあたる10月21日から3月8日まで産休を取得しました。万が一帝王切開などになった場合は、出産後70日間の産後休業が86日になります。
日本の場合は、産前6週(多胎妊娠の場合は14週)と産後8週の計14週なので、ロシアのほうが6週多いですね。
産休の申請方法
産休の申請方法に必要な書類は2種類。
- Заявление об декретном отпуске(産休申請書)
- Больничный лист(листок нетрудоспособности) по беременности(妊娠診断書)
妊娠30週になると、かかっている婦人科でбольничный лист(листок нетрудоспособности) по беременностиと呼ばれる妊娠診断書を発行してもらえます。最近は電子版が主流になりつつあり、書類も大分簡素化されています。
こちらは電子版。

Больничный лист по беременности(妊娠診断書)
私の職場は電子版が導入されたので、上記のような簡素化された紙を1枚渡されました。
以前(つい最近まで)は、下記のような水色のしっかりした紙が渡されました。

Больничный лист
電子版が導入されていない職場だと、この水色の書類を受け取ると思います。
そして、この妊娠診断書を持って職場の人事課(отдел кадров) へ行き、産休を取得するという趣旨の заявление(申請書) を書きます。
産休申請書の書き方はネットで検索するとたくさんヒットするので、それを参考に書いてもかまいません。
…が、職場によっては決まった書き方があるかもしれないので、事前に確認するか直接人事課で書いたほうが無難です。

私の職場は原則手書きなので、パソコンで打ったものは受け付けてもらえません(苦笑)そのため、妊娠診断書を持って行って、その場で手書きで申請書を書きました。
ちなみに、больничный лист по беременности(妊娠診断書)は原本を提出することになるので、必ず事前にスキャン(もしくはコピー)をとっておきましょう。
これで産休の手続きは完了です。書類関係はいろいろ複雑なロシアですが、産休の手続きはビックリするほど簡単でした。

ちなみに、これは産休取得申請なので、その後育児休暇を取得する場合は、再度職場の人事部で育児休暇申請書を提出する必要があります。
産休を早めることは可能?
結論から申し上げると、希望すれば産休を早めることも可能です。
ただし、この期間は産休取得前の休暇になるので、手当ては一切もらえません(手当てに関しては後述)。
上司に相談し、許可が下りれば無給休暇申請書(заявление на отпуск без сохранения заработной платы)を提出します。

ちなみに、私は10月21日から産休だったんですが、9月1日から10月20日まで無給休暇を取得することにしました。
理由は2つ:
- 8月に切迫流産の診断を受けた
- 前期の途中で産休に入ると引き継ぎなどで他人に迷惑がかかる
私は現在リャザンにある国立大学で日本語教師として働いています。
ロシアの大学は2学期制で、前期は9月1日から12月31日、後期は2月1日から6月上旬ごろまでとなっています(大学によって日にちは多少前後します)。
つまり、10月21日に産休に入ると学期の途中で抜けることになってしまうため、周りに迷惑がかかると思ったことと、8月に切迫流産の診断を受けたことも大きく関係しています。
幸い、上司に事情を説明したところ快く快諾してくれました。

ロシアは自分の健康を第一に考えている国なので、産休を前倒しすることに関しては全く問題ありませんでした。ちなみに、私の職場は7月と8月の56日間が夏季休暇なので、それを含めると7月からずーっと休んでることになります。夏休みだったにも関わらず切迫流産の診断を受けたときはかなり動揺しました。
ロシアの育休
産休は一般的に140日間付与されますが、育休は最低1年半、希望すれば最長3年(子供が3歳になる)まで取得することが可能です。
手当てに関しては次でご紹介しますが、育休手当ては1年半までは給料の額に応じて支払われますが、それ以降は1ヵ月50ルーブルとなっています。

1ヵ月50ルーブル(約75円)って笑ってしまう金額ですが、3歳までは育休が取得できますし、職を失うという心配もありません。育児に専念することができるので、そこは有難いですね。
産休・育休手当て
受け取れる手当ては大きく分けて4つ。
- 産休手当て
- 出産一時金
- 育児休暇手当て(子供が1.5歳になるまで)
- 育児休暇手当て(子供が3歳になるまで)-毎月50ルーブル(笑)
産休手当て、及び育児休暇手当ての計算方法は下記の通りです。
産休手当て=2年間の給料の1日の平均額×産休の日数(単胎妊娠で通常分娩の場合は140日)
育児休暇手当て=2年間の給料の1ヵ月の平均額×40%×育休の日数(18ヵ月)
2019年に妊娠された場合は、2018年と2017年の2年間の給料で計算します。
2019年は含まれないのでご注意ください。
産休手当て=(2018年の給料+2017年の給料)÷730日×140日
育児休暇手当て=(2018年の給料+2017年の給料)÷24ヵ月×0.4×18か月
実際は病気で休んだ日なども考慮しなければならないのですが、これで大まかな金額を算出することが可能です。

出産一時金は受け取ったらまた後日こちらでご報告しようと思ってますが、大体15000ルーブルぐらいのようです。
なお、ここでは紹介していませんが、ロシアは州や個人によって平均月収にかなりの差があるので、手当てに関しては最低受け取り金額と限度額が定められています。

ちなみに、産後70日後にすぐに仕事へ復帰したい場合は、夫や親戚(祖母、祖父)が代わりに育児休暇を申請することもできます。
まとめ
いかがでしたか?本日はロシアの産休と育休のシステムについてご紹介しました。
10月21日から産休に入った私でしたが、驚いたのは産休手当ての振り込み時期。
この日ちょうど30週の妊婦検診だったので、妊娠診断書(Больничный лист по беременности)を発行してもらいました。
翌日職場の人事部へ足を運び産休申請をしたんですが、産休手当てはその2日後の10月24日に私の口座に振り込まれていました。
まさかこんなに早く振り込まれるとは思ってもいなかったので、一瞬誰かが間違えてお金を振り込んだんじゃないかと心配したぐらい。
でも、よくよく調べてみると産休手当てだということが判明したのでホッとしました(苦笑)
出産まで残り約1ヵ月。現在は出産時に必要な書類や荷物を準備したり、どこで産むのかを夫と考えている段階です。
それについてはまた別の記事でご紹介しようと思っているので、お待ちください♪
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